超鉄鋼

摘要

超鉄鋼は，「強度2倍·寿命2倍」以上の特性を，「希少元素を使わず」，「リサイクル容易」な組成で実現した鉄鋼材料を言う。 21世紀において人類が持続的な繁栄を享受するための課題である地球温暖化，資源·エネルギーの枯渇などの問題の解決に不可欠の材料であるが，その実現には大きな困難が予想されることから，産学宮が連携して物質·材料研究機構で開発を進めることになった。 環境問題を例に取れば，CO_2排出量は，強度2倍材料の製造·使用により鉄鋼製造工程で2％，自動車の軽量化により同じく2％，高強度·耐熱鋼製火力発電プラントによる発電効率向上により3％削減できる。 京都議定書におけるわが国の削減目標の6％を超える削減が可能である。 資源という視点で見ると，国内で発生する年間5，000万tのスクラップが100％リサイクル可能な超鉄鋼であれば，国内の年間鉄鋼消費量6，000万tをほぼ全量スクラップで製造することができ，鉄源の自給自足が可能になる。 研究の特徴は，数値目標を立て，また材料開発にとどまらず，超鉄鋼を生かす溶接技術，安全性評価などの研究を総合的に展開している点にある。