巨大門脈下大静脈シャントに伴う門脈血行異常を背景に発生したteleangiectaticFNHの1手術例

摘要

患者は40歳男性．今回，検診の腹部超音波検査にて肝腫癌を指摘され，精査加療目的にて入院となった．血液生化学検査では，間接型優位のどリルビン上昇と，アルカリフォスファターゼ上昇，高アンモニア血症をみとめた．画像診断では，肝S6／7から肝外突出型腰瘤を認め，一部に早期造影効果を認めたことから肝細胞痛を疑った．肝血管造影検査では，肝内門脈の狭小化および著しく拡張した下腸間膜静脈と骨盤静脈癖を介した門脈下大静脈シャントを認めた．手術は，肝後区域切除と下腸間膜静脈結紫術を施行した．術後の病理組織検査にて，背景肝は正常肝で，肝腰瘤はteleangiectatic FNHと診断された．術後の肝血管造影検査では門脈の狭小化はみられなかった．巨大門脈下大静脈シャントに伴う門脈血行異常を背景に発生したteleangiectatic FNHの報告例は少なく，今回考察を加えて報告する．