IEEE802.11無線LAN高速化規格の標準化動向

摘要

IEEE 802.11無線LAN標準におけるマイクロ波帯を用いる高速化規格の最新動向について解説する．初めに，最新規格である超高速無線LAN標準IEEE 802.11ac（11ac）の高速化技術を俯瞰する.11acでは，前規格であるIEEE 802.11n（11n）で規定されたOFDM技術をベースとした空間多重伝送を行うMIMO OFDM技術を基本とした上で，単一リンクスループット500Mbit／s以上の目標性能を達成するために，空間多重数，変調多値数，伝送帯域，フレームサイズを拡張している．また，システムスループット1Gb料S以上の要求条件達成のために，アクセスポイント（AP）から複数の端末（STA）へ送信ビームフォーミングを活用することで空間分割多元接続を実現する下りリンクマルチユーザMIMO（MU-MIMO）技術を規定している．次に，11acの次期規格として現在Task Group（TG）axにおいて技術仕様策定が進められている高効率無線LAN標準IEEE 802.11ax（llax）の現状を紹介する．TGaxでは，2019年3月に11axの標準規格を完了させるべく技術検討·議論が行われている．無線LAN端末の広い普及に伴い，APおよびSTAが高密度で配置される環境におけるスループット低下を解決すべき課題とし，実環境において既存規格の4倍以上のシステム容量を達成することを目標としている．有力技術としては，ユーザ多重数を高め伝送効率を改善する上り／下りリンクOFDMA技術·上りマルチユーザMIMO技術や，キャリアセンス閾値を環境に応じて適切に切り替えることで面的周波数利用効率を高めるDSC（Dynamic Sensitivity Control）が挙げられる．