マイクログリッドおよび次世代電力供給システム

摘要

世界的な人口増加、化石燃料の消費増大、発展途上国の工業化に伴うエネルギー消費の拡大等に伴って、それらに起因する環境悪化、気候変動が懸念されていることは既に周知の通りであり、地球環境への影響を抑制しつつエネルギーを効率的、安定的に供給することは今や人類共通の課題となっている。 我が国では京都議定書の発効に基づきCO{sub}2等の温室効果ガスの排出量を1990年比6％削減することが義務付けられており、環境への負担が比較的小さいエネルギー源として、太陽光発電、風力発電、燃料電池等のいわゆる新エネルギーが注目されている。 新エネルギーは化石資源への依存の低減、即ちCO{sub}2排出削減の効果を有し、また従来の大規模集中型の発電設備とは異なり、小規模の発電源を需要地に近接、分散させて設置することが可能なので、電力や熱エネルギーの輸送の高効率化も期待されている。我が国の新エネルギー開発においては、政策面では経済産業省において新エネルギー導入量を2010年までに現在の約2倍とする目標が掲げられており、様々な新エネルギー関連プロジェクトについて予算的措置がなされている。 また技術面では各大学、研究機関、民間企業はもとより、新エネルギー等の研究開発を目的として1980年に発足したNEDO技術開発機構においても、経済産業省及び総合科学技術会議との連携のもと、産業界、大学、公的研究機関の総力を結集し、新エネルギー導入のための各種実証研究が行われている（図1）。 本稿では、現在NEDOを中心に行われているマイクログリッドと次世代電力供給システムに関する実証研究について、各プロジェクトの担当の方々に内容を記述していただくことにより、当該分野におけるNEDOの活動の一端を紹介する。