高温超伝導SQUIDグラジオメータを用いた多層平行導体の非破壊検査

摘要

電力ケーブル等のY系高温超伝導電力機器の非破壊検査への適用をねらいとして、高温超電導SQUID グラジオメータを用いた渦電流法による多層平行導体の非破壊検査の検討を行った。超伝導電力機器に近い形状をもつ試験体として、5，10mm幅、厚さ70μmの銅テープからなる平行導体層2層と厚さ5，10mmの中間絶縁層から構成される多層平行導体を作製し、下層の平行導体中の断線箇所の検出を試みた。グラジオメータのピックアップコイルサイズより十分幅の広い10mm幅の銅テープの場合、最上層の平行導体から生じる周期的な信号の影響により、検出信号の2次元イメージは複雑なものとなることがわかった。SQUID信号の強度プロファイルを調べることにより、上部平行導体と10mm厚の絶縁層の下の最下層にある銅テープの断線を検出することに成功した。一方、5mm 幅銅テープからなる多層導体の場合、double-Dコイルにより十分大きな渦電流を誘起できないため、断線欠陥を検出することはできなかった。