高温機器における余寿命診断技術開発の最前線：電磁超音波共鳴法を用いた余寿命診断技術の開発

摘要

EMAR法は非接触で超音波を送受信できるので，材料内部の超音波減衰と非線形超音波特性の高精度な計測が可能となる．これまでEMAR法による超音波減衰からのクリープ損傷評価の研究は，2.25Cr-1Mo鋼，Cr-Mo-V鋼，オーステナイト系ステンレス鋼，マルテンサイト系ステンレス鋼，Ni基超合金について行われ，超音波減衰がクリープ寿命の特定の時期にピークを示すことが明らかになってきた．これらは転位の可動性や再配列に起因することを示した．また最近，従来の線形超音波特性よりも組織変化に敏感な非線形超音波法へEMAR法を適用したクーリープ損傷評価の研究がおこなわれ始めている．そこで今回の解説では，EMAR法を用いたクリープ損傷評価を，超音波減裏，非線形超音波特性と材料の微細組織の変化から評価した適用例（Ni基超合金，Cr-Mo-V鋼）について概説する．