最新のコンクリート用混和材料4．コンクリート用膨張材の最新事情

摘要

コンクリート用膨張材は“古くて新しい材料”として注目されている．この材料が日本で実用化されたのは1960年代であり，わが国でも既に40年の実績がある．このTraditional material（伝統的な材料）がTrendy materialとして注目されるようになったのは，この材料の膨張機構や作用機構が非常に難解で，最近まで，そのメカニズムの定量的な検討が十分に進んでいなかったことが大きな要因である．近年の研究によって，膨張材の水和反応，膨張機構，作用機構がひも解かれ，その全体像解明に向けて大きく前進した．これにより，使用者側の理解が進み，知識の共有化が図られた．このように，最近のコンクリート用膨張材の研究は新たな局面をむかえており，この材料がコンクリート構造物の高機能化や高耐久化に重要な役割を演じることが多くの人々に認識されるようになった．