ステンレス薄肉円管試験片におけるねじ-軸力負荷条件下での円孔からの疲労き裂の進展挙動

摘要

円孔を有するオーステナイト系ステンレス鋼（JIS SUS316NG）の薄肉円筒試験片を用い，繰返しねじり単独，繰返しねじりと静的ないしは動的軸力複合条件および軸力単独負荷1ごにおいて疲労試験を行い，き裂進展速度の支配力学パラメータを検討した。 主な結果を以下にまとめる。 （1）疲労き裂は，モードIの進展を示し，き裂進展方向は圧縮も考慮した振れ幅が最大の方向に対して垂直方向であった。 （2）全ての実験条件において，き裂進展速度は，同一の応力拡大係数で比べると，単軸応力下の小規模降伏条件の場合に比較して高速度側であった。（3）き製進展速度は，有効応力拡大係数範囲を用いて整理しても，なお，高速度側にある。き裂の先端に大規模塑性城があるためと考えられる。 （4）荷重と変位の関係よりJ積分範囲δJを求め，き裂進展速度との関係を求めると，単軸のものと複合条件とはほぼ一致した。 このことからδJが，有効な破壊力学パラメータであることが結論できる。