2パラメータ法に基づく確率論的破壊評価への一次近似信頼性手法の適用--数値解析例による定量的検討

摘要

2パラメータ法に基づく確率論的破壊評価へのFORMの適用性，並びに材料強度特性の相関が破壊確率に及ぼす影響を調べるために，一様引張りを受ける中央き裂付き平板の破壊を例にした数値解析を行った結果，以下の結論を得た。 （1）確率変数の分布形状を考慮したFORM，原始的モンテカルロシミュレーション,重点サンプリング·モンテカルロシミュレーションによる破壊確率には，各種破壊力学パラメータを工業上問題となるような範囲で変化させても実用上問題となるような差はなく,確率変数の分布形状を考慮したFORMによって効率的かつ実用十分な精度で破壊確率の評価が可能であることがわかった。このことは，標準正規確率空間上の限界状態曲面が設計点近傍で平面近似できることを意味しており,他の負荷様式，部材形状についても,限界状態関数の形状が大きく異ならない限り，同様の結果が得られることが期待される。 （2）降伏応力巧とJ_(IC)の間に正の相関がある場合は,相関のない場合と比較して破壊確率は大きくなり，負の相関がある場合は，相関のない場合と比較して破壊確率は小さくなる．従って, σ_yとJ_(IC)の間に強い正の相関がある場合に相関を無視した破壊確率の評価を行うと非保守的な評価となる．このことは,限界状態曲面が設計点近傍で平面近似できるならば．2パラメー夕法に基づく確率論的破壊評価において一般的に成り立つ.（3）数値解析例においては，線形弾性に近い領域では，降伏応力σ_yと弾塑性破壊じん性J_(IC)の相関が破壊確率に及ぼす影響はほとんどなかったが，これはσ_yのばらつきが破壊確率にほとんど寄与していないためと考えられる。