新しい高温クリープ疲労損傷則に基づく余寿命評価法の316LC鋼への適用

摘要

筆者らが提案する余寿命評価手法を316LC鋼の800℃大気中のPP試験（全ひずみ範囲0.01および0.003）およびCP試験（全ひずみ範囲0.01,0.005および0.003）途中での余寿命評価に適用した。 その結果,以下のことが明らかとなった。 （1）予測精度は極めて良好で，試験開始からの繰返し数nと表面き裂長さ2aが既知であるとして評価する手法1および所定の繰返し数期間△nにおける表面き裂長さ変化を既知であるとする手法2共に前報のMod.9Cr-1Mo鋼の場合の予測精度を上回った。 （2）手法1は手法2に比べ極めて予測精度がよく,手法2が評価時点によって予測精度がばらつくのに対し，手法1は,とくに測定される表面き裂長さ鮎が300μm以上では，余寿命を実際の1.1倍以下，材料損傷度および作用非弾性ひずみ範拘をそれぞれ実際の0.9～1.3倍の範囲内で予測できる。 （3）余寿命なしと判定する能力については手法1および手法2共に良好で，両者の間に差は認められなかった．今後,Mod.9Cr-1Mo鋼についても，PC,CPおよびCC試験の場合のクリープ疲労損傷則を316LC鋼のCP試験の場合と同様に修正して余寿命計算を行い，評価精度の改善の有無を検討する予定である.