黒毛和種雌牛およびホルスタイン種雌牛における血中代謝ホルモン濃度の比較

摘要

ウシの品種および泌乳が血漿代謝ホルモン濃度におよぼす影響を検討するために黒毛和種末経産牛，ホルスタイン種未経産牛，ホルスタイン種経産牛の乾乳期，泌乳中期，泌乳後期の各5頭，計25頭を供試し，通常飼養管理下で連続採血を行い，血中代謝ホルモン濃度を測定した．インスリン濃度は，ホルスタイン種が黒毛和種より低かった（P＜0．05）．また，泌乳中期が最も低く，以後泌乳期の進行にともない漸増した．成長ホルモン（GH）濃度，インスリン様成長因子－Ⅰ（IGF－Ⅰ）濃度は，黒毛和種よりもホルスタイン種が高かった（P＜0＝05）．GH，グルカゴン濃度は，泌乳中期が高く，以後低下した．IGF－Ⅰ濃度は乾乳期が最も高かった（P＜0．05）．以上の結果，ウシは長年改良されてきた結果，最適の代謝状態を示すようになり，血柴中の代謝調節ホルモン濃度に品種間差，および泌乳時期間差として現れていることが示唆された．