施設園芸におけるゼロ濃度差CO_2施用〔1〕: その原理と実際一

摘要

施設園芸におけるCO_2施用は古くて新しい課題 である.従来，CO_2施用は，換気窓を閉めて室外よ りも室内のCO_2濃度を高く維持することで，施設内植物の光合成を促進し収量増をもたらすことを意 味することが多かった.換気窓を閉じた状態でのCO_2施用は，冬季の朝夕および曇雨天日以外には実施できないので，その効果が限定的であった.この場合，CO_2施用の効果が本来であれば最も高いと考えられる日射が強い昼間には換気窓が開いているので，CO_2施用は行われてこなかったのである.また，園芸施設の密閉度は換気窓を閉じていても比較的低いために，施用したCO_2量の大半が施設のすき 間から室外に流出し，結果的に，CO_2施用コストが 高かったこともある.さらに，CO_2の施用装置が数 十万円と比較的高価であった.