日本のいちご品種の変遷

摘要

日本の経済はようやく回復の兆しを見せてきたようだが、農林水産業では国際競争が激化する中、家畜等の疾病や食の安全性などの問題が次々と発生しており、元気が出ないのが現状である。 しかし、いちごだけは堅い消費に支えられてなんとか元気を維持し続けている様子なのが何よりである。 このたび日本曹達（株）から依頼されたのを機に「日本のいちご品種の変遷」についてまとめてみた。 いちご、いわゆる今日のオランダイチゴ（Fragaria X ananassa Duch．）はオランダ船によって江戸時代後期に日本にもたらされた。 そして明治になってから他の作物と同様に多くの品種が導入されて栽培が始まった。それらのうち日本に定着し、広く栽培されて今日の品種の大元となったのは、一つはアメリカの「ハワード系」の品種であり、もう一つはフランスの‘ジェネラル、シャンジー’に代表される「ヨーロッパ系」である。 「ハワード系」の代表が‘幸玉’、‘宝交早生’であり、「ヨーロッパ系」の代表が‘福羽’といってよいのではなかろうか。