リンゴカラムナータイプ系統の樹体生育，果実生産特性

摘要

マルバカイドウに接ぎ木したカラムナータイプの生育特性を示すリンゴ7系統の選抜実生と，並びにM．9EMLAに接ぎ木した‘ふじ　 の樹体生育，花芽着生並びに果実生産性について比較検討した．6年生樹のカラムナ一夕イブ7系統は‘ふじ　 に比較して樹冠構造の小さい円筒形の樹姿を示し，樹高が2．7 8～4．59m，樹冠幅が42～68cm，1樹当たりの樹冠占有面積が0．18～0．59m~2，並びに樹冠容積が0．64～2．61m~3であった．．また，樹冠の大きい系統ほど幹断面積の値が大きく，1年枝の発生数と総伸長量が多いなど，系統間で生育差のあることが明らかとなった．花芽着生数は，カラムニトータイプの7系統間に差があり，花芽着生の多い系統で隔年結果性が明らかになった．3年生または4年生で初結実し，その後収量は増加したが，系統間で大きな差があるとともに，‘ふじ’と比べて低いことが明らかになったい幹断面積当たりの果実生産効率は‘ふじ　よりも劣ったい　樹冠占有面積または樹冠容積当たり果実生産効率は系統間に大きな差がみられたが，多着果年においては多くの系統で‘ふじ　 と比べて高く，少着果年でも数系統は‘ふじ　 程度の値を示すものがあることが明らかになた．果実品質は，‘ふじ　 と比べて小果，低屈折計示度および高酸度であった．また，収穫前落果が毎年みられた．結論として，現在あるカラムナータイプの品種は問題点が多いものの，育種的，栽培的な改善を行うことにより，カラムナ一夕イブの生育特性を利用した省力栽培法の開発が可能になると考えられた．