第Ⅲ章　セリの根組織培養による種苗生産技術の確立 －培養体由来根組織からの不定胚誘導による増殖－

摘要

組織培養による増殖法は茎頂培養法，不定芽、不定根誘導法，不定胚誘導法などがある（高柳，1988，鎌田、原田，1989）が，その中でも不定胚誘導法は，他の培養法と比較して増殖効率が高く，生産プロセスの自動化およびスケールアップがしやすい点で優れ，急速大量種苗生産への応用が期待されており，これまでに200種以上の植物種で不定胚形成の誘導が報告されている（西村ら，1990，嶋津、蔵田，2002）。 不定胚誘導による種苗生産を行う場合には，培養手法の簡易化，効率化，安定化，省力化および低コスト化が問題となる。 また，増殖効率を高めるためには，継代培養が考えられるが長期間の培養は外相体の再分化能の低下と共に再生個体の培養変異の発生が問題となり好ましくない（鎌田、原田，1989）。