二機二軸二舵船「鶴洋丸」の旋回性能に関する考察

摘要

平成16年12月に竣工した長崎大学水産学部附属練習船「鶴洋丸」（総トン数155トン）は，沿岸での実習、調査を主体としており，低速で旋回する機会も多い。また航行中の避航においても旋回を用いることもあり，旋回性能を把握することは操船上非常に重要である。旋回径等の計測は，従来から実船試験による方法が一般的であるが，定常旋回径に関しては船体諸要素から計算により求める方法もあり，杉原1，2）は一機一軸一舵船を対象に行ったノモグラムを示している。そこで本研究は，鶴洋丸の定常旋回における旋回径の大きさと360度旋回に要する所要時間及び旋回時の減速率を実船試験で求め，杉原のノモグラムを鶴洋丸に適用した場合の有効性を検討するとともに，ドックでの船底洗い後の時間経過に伴う船底の汚れが定常旋回径に及ぼす影響についても検討することを目的とした。