S-1/CDDP術前化学療法中に重篤な骨髄抑制を生じた進行胃癌の1例

摘要

胃癌第Ⅱ期,第Ⅲ期の症例に対する進行胃癌の治療として,胃切除術後S-1内服による補助化学療法を実施することで生存率改善効果を有することが報告された.しかし,第Ⅲ期,第Ⅳ期進行胃癌の予後は依然として不良であり,新たな治療戦略が望まれている。胃癌患者における抗癌化学療法においては,胃切除術後は食事摂取量が減少することにより,消化器系有害事象を有する抗癌化学療法のコンプライアンスは不良となりやすいことがよく経験される。 したがって,われわれは手術後ではなく積極的に術前に抗癌化学療法を実施している。 使用する薬剤には抗腫瘍効果が短期間に現れるため,われわれはS-1/CDDPの併用を選択している。 同レジメンは,進行再発胃癌に対する治療レジメンとして広く用いられ,最近その有効性に関する臨床試験結果が公表された。