術前TS－1/CDDP併用療法が著効し根治切除となったStage IV進行胃癌の1例

摘要

症例は60歳，女性。 検診で異常を指摘され近医受診。 胃癌の診断で本院紹介受診した。 胃内視鏡にて胃体上部小弯から前庭部にかけて約10cmの3型腫瘍を認めた。 生検では低分化型腺病であった。CT検査にて膵浸潤に加え，肝左葉外側への直接浸潤と腹膜播種を疑われcStage IVと診断された。 根治術は不可能と判断し術前化学療法を選択した。 TS-1 120mg/dayを21日連続経口投与，CDDPはday8に95mg（60mg/m~2）を点滴静注した。 2週休薬し5週を1コースとした。 合計2コース施行し原発巣は著明に縮小しcStage IIへとdownstageが得られ，胃全摘術，D2郭清を施行しpStageIBで根治度Aの手術であった。 術後1年を経過したが再発，転移は認めていない。 本法は進行胃癌症例に対して極めて有効な治療法と考えられたので文献的考察を加えて報告する。