乳癌癌性胸水に対する胸腔内OK－432前投与養子免疫療法（培養胸水中リンパ球移入）の長期生存例の検討

摘要

1984年以来，細胞診陽性（癌性）胸水を有する乳癌例に対し，OK－432胸腔内投与に続く養子免疫療法（培養胸水中リンパ球移入）を151例に対し行った。 治療開始後5年を経過した81例中12例の長期（5年以上，うち4例は10年以上）生存例を経験したのでその背景因子を検討した。 初診時胸水を含む転移巣を有したER（一）StageⅣ期乳癌例1例を除き，全例が長い（32～204か月）無病期間をもち，ER陽性5例，陰性1例，不明6例であり，さらに胸水治療時の先行?併発転移巣は胸壁?局所6例，リンパ節2例，肺4例，骨3例にて致死的転移巣併発はなかった。 本治療による胸水治療効果（12例全例が胸水消失）およびこれら併発病巣の制御が，元来予後良好の因子を有する乳癌胸水例の長期生存に寄与したものと考えられた。