肝癌分子標的治療のトランスレーショナル·リサーチ

摘要

がん分子標的治療の「標的」とは何を意味するのか？2002年，JainとBishopらは，癌遺伝子mycのトランス ジエニック?マウスに発生した癌細胞を用いて，ある実 験結果を発表した。このMyc癌細胞では，一時的に Mycをオフにするだけで（あたかも標的を狙い撃ちした ように）アポトーシスに陥るという現象である。Wein-steinは，この興味深い現象をmycという癌遺伝子にあ まりにも依存したホールマークの一つと捉え，癌細胞の "oncogene addiction"と表現した2)。すなわち，癌遺伝 子(oncogene)という麻薬を与えられ変異を蓄積した癌 細胞は中毒?依存症(addiction)となり，癌遺伝子が切 れると禁断症状で死んでしまうという，魅力的なィメー ジが打ち立てられた。