骨·軟部腫瘍 III.脂肪肉腫に対する薬物療法-葉物治療の現状と新規薬物臨床試験の新しい知見－

摘要

脂肪肉腫は軟部肉腫の中でも頻度の高い腫瘍であり，軟部肉腫の20-30%を占める。脂肪肉腫は組織学的に，高分化型，脱分化型，粘液型および多形型に分類され，それぞれ特徴的な臨床像を示す2)。一般に，高分化型脂肪肉腫は再発·転移が稀で外科的治療にて根治可能であり，薬物療法の適応にはならない。一方，脱分化型粘液型·多形型脂肪肉腫は，高率に再発·転移を来たす予後不良の腫瘍であり，術前·術後の補助療法として， または外科的切除の適応にならない進行例に対して薬物療法が試みられている。従来，脂肪肉腫は薬物療法に抵抗性であるとされてきたが,近年ぱosfamideやdoxorubicin が脂肪肉腫を含む軟部肉腫に対して一定の腫瘍縮小効果を示すことが明らかになり，薬物療法の適応が拡がる傾向にある。