スナネズミの研究（5）

摘要

スナネズミ（英名：Mongolian gerbil, Meriones unguiculatus) は，戸津川らの記載にあるとおり，日本で実験動物化された薔菌類であり，元来北東中国と東モンゴルの乾燥地帯に生息し，植物の根や種子を摂食していた、。 実験動物として使用されるようになった発端は寄生虫学であり，初めて用いられたのは1930年代であった。 羊ジプトでビルハルツ住血吸虫症が大流行し，実験室内の好適宿主を求めてさまざまな動物に実験感染が試みられた。 そこで優れた感受性を示したのがスナネズミであったという、。 その後，フィラリア、糞線虫、をはじめとする種々の内部寄生虫や、リケッチヤ、レプトスビラ、ウイルスなどの寄生体に対しても幅広い感染性が明らかにされた。寄生虫は一般に種特異性が強いために実験室内での維持が難しいが，このように種々の寄生体に対するスナネズミの好感受性が示されて以来，性質が穏和で扱いやすいことも相まって，実験室内好適宿主として盛んに利用されるようになった。 一方，脳のWillis環が不完全であることから，脳虚血やてんかんの研究に、，砂漠に適応した特異な生態を持つことから代謝や内分泌系の実験材料としても貢献している。