藻食性魚類アイゴの積極的利用の勧め

摘要

近年，藻場の衰退原因としてアイゴ，ニザダイ，ブダイなどの藻食性魚類による食害が注目されつつある（清水他，1999；中山、新井，1999）。 昨冬には，長崎県野母崎町でクロメの葉状部が消失する現象が起こり，やはり藻食性魚類の食害が原因であると考えられている。 また，本邦南西水域の広域においても同様の現象が発生している可能性が示唆されている（吉村、清本，1999）。 これらの詳細は現在不明であるが，仮に藻食性魚類が大量発生し海藻群落がダメージを受けているとすると，今後の沿岸漁業や環境に及ぼす影響が危惧される。 その一方，これらの魚種は食材としての利用が少なく市場での商品価値が低いため，漁獲対象にならない地域が多い。 このことから，未利用生物資源の有効利用を考慮すると，藻食性魚類が食用として利用されることが望ましい。 そこで食害を与える藻食性魚類アイゴの食品としての利用状況についてまとめてみた。