畑地かんがいと地下水環境の関係

摘要

この報文は，平成9年度に沖縄総合事務局宮古農水利事業所から当会に委託された「平成9年度宮古農業水利事業かんがい効果等検討業務」において12月に開催したセミナーの資料から許可を得て，抜粋し掲載するものである。 前回のセミナーでは，宮古地区における畑地かんがいについて，主として次の2つの効果を示した。第1に，宮古島の地下水は近年主に化学肥料に由来する硝酸により汚染されており，その汚染程度は，適切な畑地かんがいにより軽減できる可能性を示した。 第2に，畑地かんがいは，宮古地区の夏季型農業形態の発展に寄与する可能性を示した。 今回はまず，上記のうちとくに第1の効果について，①畑地かんがいと地下水汚染との関係をより詳しく考える。 さらに，宮古地区における畑地かんがいは，②農地の地力改良，および，③森林率の向上（用水の多目的利用の一環として）にも貢献することが可能であることを示し，これらの貢献との関連性において，最後に，畑地かんがいと地下水環境保全との関係について総合的に考察する。