硫黄·硫酸

摘要

世界の硫黄工業は，1993年を底としてその後わずかながら成長を維持し，2003年は需給ともかなりの活況を呈した。 世界の2003年の単体硫黄（以下，単に硫黄という）の生産は4,479万ｔ（前年比3.9％増），国別には米国が1位で893万ｔ（5.1％増），旧ソ連がカナダを抜いて2位に上がり808万ｔ（3.7％増），3位がカナダの803万ｔ（0.8％微減），4位はサウジアラビア240万ｔ（1.5％増），5位が日本195万ｔ（4.6％増）であった。 その他100万ｔ以上の生産国は，アブダビの192万ｔ，ドイツ166万ｔである。 なおアブダビは日本とほぼ同じ生産水準にあり，2003年は日本が逆転した。 米国ではフラッシュ硫黄（天然硫黄）鉱山閉山後回収硫黄の増産が続き，前年比43万ｔの大幅増産となった。 カナダの回収硫黄はガス源との兼ね合いでほぼ横ばいであった。旧ソ連ではロシアが最大の生産国で，旧ソ連の全生産の72％を占めて582万ｔ（前年比3.6％増）を生産し，次のカザフスタン162万ｔ（0.9％増）とともに，ガス生産に伴う回収である。かつて，東欧第1のポーランドのフラッシュ硫黄生産は，1996年に激減し，現在では100万ｔを下回ってしまった。 西欧では，ドイツが石油からの回収を主として166万ｔ（前年比4.8％減）を生産し，フランスは天然ガスから石油に回収硫黄の生産を転換して，2003年は82万ｔ（前年比3.7％増）であった。 最近では，イタリアとオランダが硫黄回収を増加し，2003年にはそれぞれ56万ｔ，41万ｔを生産した。 ラテンアメリカでは，メキシコが回収硫黄の増産を図り，2003年は105万ｔと，前年を18.2％と大きく上回った。 中東ではサウジアラビアの生産が最高で，2003年には240万ｔと，前年を1.5％上回った。 その他，アブダビ192万ｔ（1.3％増），イラン131万ｔ（9.2％増），クエート71万ｔ（12.6％増）が有力な回収硫黄生産国である。 また，アジアでは韓国が石油からの硫黄回収を進め，2003年は76万ｔ（10.2％増）を生産し，インドは再び増産に転じて45万ｔと，前年比21.6％の大幅増となった。