南極観測船　「宗谷」を回顧する

摘要

巻頭カラーと本文頁で海上保安庁のヘリコプター搭載巡視船（PLH）にスポットを当てたが, ここではそれに関連してPLHのルーツともいえる初代南極観測船宗谷（船種類別上は巡視船）の船容変化を14葉の写真で追ってみたい。海上保安庁の巡視船でヘリを搭載, 運用したのは, 6回南極に赴いた本船が最初である。その出自は, 昭和13年2月川南工業香焼島造船所で進水したソ連向け耐氷貨物船ボロチャエペツVolochayehvyehtsだが, 曲折ののち辰南商船の地領丸として同年6月竣工し, 海軍の特務艦宗谷を経て, 戦後は引揚げ船となり, 昭和24年12月灯台補給船として海上保安庁に編入され, 30年12月南極観測船となったもの。