南洋海運の新造貨客船「日蘭丸」クラス

摘要

日本郵船,大阪商船,南洋郵船,石原産業海運の4社共同出資によリ,昭和10年(1935年)7月に設立された南洋海運は,蘭印航路においてオランダ海運に対抗するための準国策会社で,サマラン丸,淨寶縷丸など各社出資船14隻で運航を始め,4年後に初の新造船を2隻建造した。これがここに紹介する日蘭丸,日昌丸の姉妹である。日蘭丸は戦禍で失われたが,日昌丸は戦後まで生き延び,復員輸送や戦後の外航海運の再建に貢献し,生涯を終えた。南洋海運は戦後東京船舶に改まり,その後日本郵船傘下となって2010年には定期航路事業の譲渡を機に,NYK Container Lineに統合されて消滅した。今年が南洋海運の設立から80周年になるのにちなんで,同社唯一の新造船姉妹を偲んでみよう。