新鋭駆逐艦当時の「薄雲」

摘要

薄雲は台計24隻建造された特型駆逐艦の7番艦である。昭和3年7月26日，東京の石川島造船所で第41号駆逐艦として竣工し，翌月1日に固有艦名に改められた。写真は艦隊配備2年度目の昭和5年度，作業地における撮影。艦上に居住区暖房用の煙突が認められることから，前期の状況で，場所は九州方面らしい。当時の本艦の所属は第2艦隊第2水雷戦隊隸下の第12駆逐隊で，同隊は本艦のほか，叢雲，東雲，白雲で編成されていた。この年度の第2水雷戦隊は軽巡洋艦鬼怒を旗艦に第11，第12，第19駆逐隊から成り，駆逐艦はすべて特型であった。魚雷戦の花形である第2艦隊第2水雷戦隊の子隊駆逐艦が全艦特型となったのはこの年度が最初で，従前に比して戦闘能力が飛躍的に向上していた。第12駆逐隊の2水戦内の序列は，後部煙突の識別線から分かるように2番隊である。この時の薄雲駆逐艦長は3代目で，海兵37期の伊藤長中佐が務めていた。