転抄や維持更新が主体となる製紙関連企業の設備投資動向

摘要

製紙関連企業15社の2018年度設備投資額は前年度比△0.2%（6億円減）の2,875憶円にとどまったが、連結売上高に占める割合は5.0%と引き続き5%の大台をキープした——先に出そろった3月期決算の企業を中心とする各社の有価証券報告書から、設備投資の実績をピックアップした結果である。だが、これらはあくまで平均値であり、実際には業績を反映した投資マインドの大小や投資サイクル自体の波によって例年と同じく、增額の企業と減額の企業が混在している。一方、19年度の計画を眺めると、能力增強目的の投資は家庭紙など特定分野に限られており、その他では老朽設備の維持更新、発電など工場インフラ関連の投資案件が目につく。これは製紙産業に限った話ではなく、わが国製造業の国内投資はバブル崩壊以降、低水準に抑えられてきたため工場の老朽化が進んでいる。設備の平均年齢は 1993年の10.9年から、13年には16.3年へと"高齢化"が進んでいる、との内閣府による試算もある。こうした背景からアナリストの間では今後、老朽工場の建て替えニーズが高まってくるのではないかとの見方も出ている。