米中間選挙後の経済通商政策を占う

摘要

就任3年目を迎えた卜ランプ大統領は，一般教書演説（2月5曰）で民主党との融和を求め，経済通商政策に協力して取り組む姿勢を強調した。2020年の大統領選挙に向けて.経済通商分野で確固たる実績を築きたい卜ランプ大統領が送る秋波に対して，中間選挙で下院を奪い返した民主党がどう応えるかが，今後の経済通商政策を占う上での最大の焦点となる。民主党は政策の方向性では共和党とほぼ一致するものの.その成果が「卜ランプ大統領のレガシー」となることを望んでいない。具体的な課題として挙げた対中関係では，卜ランプ氏が大統領選挙時より問題として掲げてきた貿易赤字削減から.知的財産権保護，安全保障に関係する重要技術の取り扱いに至るまで，過去2年間で両国間の争点は拡大の一途を迎つた。中国に対して讓歩を求める主張が連邦議会で超党派の声になるにつれて，早期の解決を模索する中国政府の思惑をよそに，解決への道のりはより険しいものに変質している。米中問題以外にも，北米自由貿易協定（NAFTA)の新協定である米国• メキシコ•カナダ協定（USMCA)の国内法制化手続き，インフラストラクチャー分野の政策立案など，トランプ大統領が取り上げた課題は，いずれも両党間の対話の結果次第で今後の筋道が決まるものが挙げられた。「ディール•メーカー」を自負する卜ランプ大統領の手腕がまさに試される状況だと言える。