将来の省エネルギー型水道システム

摘要

水道による省エネルギーとは，水道水あるいは水道システムを利用することによって，社会全体におけるエネルギー消費を削減しようというものであり，水道水の直接飲用によって,清涼飲料水等の供給に必要な素材としてのPETが不要となるばかりではなく，自動販売機の設置に関わる電力も不要になる。一方，水道における省エネルギーとして，将来的には，水道システムの広域化と再構築による省エネルギー水道の実現が求められている。現在の水道システムは市町村による経営が原則であるが，非効率な施設配置を強いられることもあり，無理なポンプアップが存在することなどによって，エネルギー消費量が大きいシステムとなることもある。これに対して，市町村あるいは都道府県の境界にとらわれることなく，浄水場やその他の水道システムの配置をエネルギー消費量の観点から再検討することができれば,広域的な省エネルギー水道を構築することもできる。一例として,首都圏を対象として広域水道を検討した事例を紹介し，浄水場の統合と上流取水によって，ポンプに関わる電力の47%が削減可能であることを示した。