用廃水豆知識

摘要

水質汚濁に係る環境基準は，環境基本法に基づき，人の健康を保護し(健康項目)，生活環境を保全(生活環境項目)するうえで維持されることが望ましい基準として定められている。公共用水域については，健康項目としてカドミウム，ヒ素，PCBなど27項目が，生活環境項目として全窒素，全リン，化学的酸素要求量(COD)など13項目がそれぞれ設定されている。このうち生活環境項目のなかには，水生生物保全に関する項目として設定された全亜鉛，ノニルフェノール，および，直鎖アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩(LAS)が含まれている。健康項目については，基準値が全水域で一律に適用されるのに対して，生活環境項目は自然環境保全，水道，水産，工業用水などの利用目的に応じた類型別に基準値が設定されており，国や地方自治体が指定した類型に応じた基準値が適用される。生活環境項目の新たな環境基準として，2016年3月30日に底層溶存酸素量(底層DO)が追加された。この他，環境基準ではなく，地域において設定する目標(地域環境目標)として，沿岸透明度の考え方が中央環境審議会の答申で示された。また，生活環境項目の類計指定については，環境省および地方自治体において順次行なわれている。