線路近接地における保育施設の開業効果の計測

摘要

本研究は，首都圏各鉄道事業者のCSR事業の一環でもある線路近接地（鉄道高架下含む）における保育 施設開業に焦点を当てた。線路と保育施設それぞれが持つ外部性について.資本化仮説に基づくへドニック• アプローチにより分析し,3つのことを明らかにした。第1は，線路近接地は地価が低い可能性があり. そこに鉄道の騒音などの影響がうかがえることである。第2は，保育施設も地価の低いところに立地して いる可能性があるものの，施設の開業により地価は上昇することである。第3は，線路近接地における保 育施設の開業は総じて周辺地域に対して否定的な影響を与えず，施設利用者に移動費用の削減という便益 が生じることから，鉄道事業者のCSR事業には一定の社会的意義があることを示したことである。