まちづくり会社による中心市街地活性化再考: 産業政策•社会保障•新自由主義•都市コモンズー

摘要

近年の日本の「まちづくり」は新旧のまちづくり3法を基軸に、ポスト工業社会後の衰退しつつある地方の中心市街地に、商店街をはじめとする既存の団体だけではなく、新しい活性化の担い手として「まちづくり会社」を作ることで、地方再生の新しいエンジンを生み出し地域社会を活性化させるはずであった。「まちづくり会社」による成功事例として、旧まちづくり3法時代では、伝統的な町並みのリノベーションとそこにガラス文化産業を入れ込むことでシャッター通りから年間100万人以上の来街者を呼び込む原動力となつた滋賀県長浜市の第三セクター黒壁、新まちづくり3法時代では「コンパクトシティ」というキーワードで、公共施設や商業施設を中心市街地へと集約する青森市のァゥガの再開発、路面電車など公共交通網を整備し中心市街地の再開発を行う富山市、商店街が自らビジョンを掲げ再開発事業を順次展開している高松巿丸亀町商街などが有名である。しかしながら、全国的には、これらの成功事例の法則が他地域に活かされ、日本全国の中心市街地再生がなされたとは言えず、政策的効果は疑問視される一方で、第二次安倍政権下では、「地方創生」という新たな呼び名で、農村部も含んだ地方活性化の様々な試みがなされようとしている。