コンクリート構造物の点検における評価対象別の非破壊試験: ③剥離および内部欠陥

摘要

今回の講座では,「剥離」および「内部欠陥」を評価対象とした非破壊試験方法を紹介します。剥離や内部欠陥という変状は,人によってイメージする対象が異なることや様々な劣化変状が含まれると考えられますので,本講座で対象とする剥離および内部欠陥について,コンクリート診断士の講習会テキストである「コンクリート診断技術'14」を引用して確認しておきます。コンクリート診断技術'14では,「2章対象」にコンクリート構造部を診断する対象を記述しています。剥離については,「2.2.6ひび割れ・浮き・剥離」の項に記述されており,【「浮き•剥離」は,かぶり(厚さ)が比較的少ない場合に,鉄筋腐食によってコンクリートが押し出された状態であり,「剥落」は,このコンクリート片が落ちた後の状態を示すものと考えられる。】とあります。内部欠陥については「2.2.3内部欠陥」の項に定義が示されており,【内部欠陥とは,トンネル構造物における覆工コンクリートの背面空洞やPC構造物におけるシース管内の空洞,建築物のタイル仕上げやモルタル塗仕上げを施した場合に,コンクリートとタイル張付けモルタルとの界面浮き・剥離などで,コンクリート構造物内部に生じた豆板や空洞のことをいう(一部省略)。】とあります。図-1に,定義の説明に使用されている内部欠陥の概略図を示します。