鉄筋コンクリート（RC)造建築物の解体工法③低騒音解体工法

摘要

建築構造物の解体には長い歴史があり，解体技術も進化してきました。当初の解体は，作業員が手持ち工具で「壊し」を行う人海戦術的な手法で行われていましたが，1960年代から鉄筋コンクリート構造物を，クレーンで吊り上げた大型の鉄球を衝突させて壊す解体法，1970年代からは大型重機と解体アタッチメントによる機械解体などへと変遷してきました。また，解体工事の周辺環境への影響，特に騒音•振動の抑制や大量の建設廃棄物の適正処理およぴ再資源化への対応などが課題となってきました。これまで解体工事はどちらかというと専門工事業まかせの面が強く，構造物をいかに早く安く壊すかに主眼が置かれ，近隣や地域環境への配慮が十分になされていたとは言い難かったと思われます。しかし昨今は，工事現場周辺への環境負荷の小さい解体工法が求められていることに加え，超高層建築の解体やアスベスト除去，大規模地下解体などの新たな課題への技術開発も行われています。