スチレンジビニルベンゼン共重合体樹脂を用いた天然水中における疎水性と親水性の溶存有機物の分画

摘要

天然水中の溶存有機物を疎水性-親水性および酸性-中性-塩基性の性状に基づいて分画し，各分画を有機炭素rn（DOC）量で評価する手法は，難分解性有機物などによる河川・湖沼の水質汚濁に対する有力な機構解明の手段としrnて期待されている。しかし，疎水性-親水性の分両に用し、られているXAD-8（アクリルエステル樹脂）には，精製rnに多大な時間が必要とされるだけでなく，精製を行ってもDOCブランク値の低減化が難しいという問題点があり，rn有力であるにもかかわらず広く共有される手法となっていない。そこで．XAD-8にかわる疎水性-親水性の分耐去とrnして，スチレンジビニルベンゼン共重合体樹脂を充填したPS-2カートリッジを用いる手法を検討した。rnその結果，①PS-2の分画操作におけるDOCブランク値は，通常の阿相抽出と同様のコンディショニングを行うrnだけで低減化が可能であった。②フミン酸，フルボ酸および糖酸等の標準品を用いた添加回収実験から，PS-2とrnXAD-8による疎水性-親水性の分画特性に差異のないことが明らかになった。③河川水と湖水に対するPS-2分画法rnの適用実験の結果と，XAD-8による分画法の報告例との比較検討を行ったところ，両者の分画結果には整合性のあrnることが認められた。rn以上のことから，PS-2による分画法は，水試料を固相抽出するのと同様の簡便な操作で．XAD-8を用いた場合とrn同等に溶存有機物を疎水性と親水性に分画できることが明らかとなった。