第11講環境技術思想——持続可能な社会に向かってサボる下水道

摘要

先日、土木学会の環境技術思想小委員会•臨床環境技術小委員会で行った講演内容をもとに執筆するよう、楠田哲也九州大学名誉教授(同小委員会長)よりご提案いただきました。この機会に、自分の頭の中の「環境技術思想」について整理したいと思います。思想は大学教員にとって大変重要なものだと思っています。環境に携わる立場を産官学に分けた場合、学である大学教員に産や官の皆様は多大な敬意を払ってくださいます。産や官の方々は私よりも遥かに現場の現状や技術について詳しくご存知であり、なぜ私にそのような敬意を払ってくださるのか、長年疑問を持っていました。最近では、大学教員は思想を持っているから、というのがこれに対する答えであると思っています。大学教員は産や官の方々が得にくい情報に触れることができ、それをもとに思考する時間もあり(最近はあまりないのですが)、思想を形成できる条件が整っているのでは、と思っています。大学教員は自分なりの思想を持ち、それに基づいた将来像を示す。それに向かって行動するのが大学教員の使命なのではないかと思っています。一方、これには多大な責任が付随しますので、十分な覚悟が必要です。