地球深部への水の輸送: 新たな高密度含水マグネシウムケイ酸塩鉱物の発見

摘要

地球内部に存在し得る水の質量は地球表層を覆う海水の数倍から数十倍とも見積もられている。うなれば水は地球の表層だけでなく地球の内部においても重要な成分の1つであり，球の進化に多大な影響を及ぼすだろう。水は現在も少しずつ地球内部へと運ばれていると考えられており，地球深部を含むグローバルな水の循環経路を解明する研究が行われている。地球表層を覆う水は岩石と反応して含水鉱物を作る。含水鉱物は鉱物(固体)であるが，結晶構造の骨格に酸素(O)と水素(H)が取り込まれているため，地球科学者はこれを文字通り，(H_2O)を含む(含水)鉱物と呼ぶ。このような含水鉱物はプレートの沈み込みに伴い，水を地球深部へと運ぶ。しかし，地球表層で形成された含水鉱物は雲母のように軽くてもろい性質をもっており，地下約40〜100kmの深さで分解し水を放出する。放出された水は岩石を融解させてマグマとなり上昇し，日本のような島弧火山の形成にかかわっている。