長野県神城断層地震が提起する活断層評価の問題

摘要

2014年11月22日，長野県白馬村付近を震源にマグニチュードの地震が発生した。気象庁は2014年長野県北部の地震と呼び，長野県は神城断層地震と名付けた。長野県小谷村などで最大震度6弱(白馬村で震度5強)が記録された。この地震は，①政府の地震調査研究推進本部により110の「主要活断層」が定められて以来，初めてそのうちのひとつである糸魚川-静岡構造線(糸静線)が活動して起きたものである。②震源断層面が浅いために局地的に震度7に近い揺れが発生した可能性があり，白馬村神城•堀之内地区では甚大な被害が生じた。③地表のずれ(地表地震断層)は，既存の活断層地図で示された場所に出現した。しかし，④糸静線のごく一部が小規模に活動した地震であり，政府が予測した地震ではなかった。地震規模が小さく死者は出なかったが，活断層地震の長期評価(発生確率)や防災対策に再考を促す重要な地震であった。