広島大、高輝度光科学研究センター、東北大金材研多機能性磁性材料「ホイスラー合金」ハーフメタル状態の直接観測に成功

摘要

広島大学大学院理学研究科の河野嵩(M2)、木村昭夫教授(20年4月より同大学院先進理工系科学研究科)の研究グループは、高輝度光科学研究センターの室隆桂之主幹研究員および東北大学金属材料研究所の梅津理崽教授らとの共同研究として、大型放射光施設SPring-8の軟X線固体分光ビームライン(BL25SU)にて高輝度シンクロトロン放射光を利用した角度分解光電子分光(ARPES)法を用いて、多機能性強磁性材料として知られるCo_2MnGeホイスラー合金の3次元的なバンド構造の観測に成功し、理論的に予測されていたハーフメタル性を示すバンド構造を世界で初めて実験的に明らかにした。物質の電気伝導の起源を明らかにするためには物質内部の電子のバンド構造の詳細な知見が必要不可欠。Co_2MnGeに代表されるホイスラー合金は、長年研究されてきたにも関わらず、ノマルクの3次元的なバンド構造の直接観測は実現できていなかった。今回の研究成果は、ホイスラー合金における今後の角度分解光電子分光研究だけでなく、スピントロニクス分野におけるデバイス開発や理論計算による物質開拓にも強力な指針を与えることが期待される。