寒冷地における太陽熱空気集熱器と潜熱蓄熱材を組み合わせた外気負荷削減装置の開発: 個別要素の特性によるシステム効果の数値解析

摘要

近年、北海道の新築の住宅は高断熱•高気密化の進展により断熟 性能や気密性能が高まり、更なる断熟性能の向上による省エネル ギー化が厳しい現状となっている。そこで今後、より省エネルギー 化を目指すためには日射の利用や外気負荷の削減に注目する必要が ある。日射を利用する手法の欠点の一つとして、日射を得ることが できる時間帯が在宅人数の少ない日中のみであるという点が挙げら れる。より効率的に省エネルギーに寄与するためには、日中得られ る太陽熱を在宅人数の多い夜間に移行する必要があり、蓄熱システ ムとの組み合わせが重要になる。蓄熱システムには顕熱蓄熱システ ムと潜熱蓄熱システムがある。顕熱蓄熱システムは物質の温度変化 によって得られる熱を利用するシステムであり、主な顕熱蓄熱材と して、水、コンクリート等が利用されている。例えば藤田らは、コ ンクリートブロックと蓄熟レンガを用いた実験から温度変動や熱量 を算出し、数値計算によって蓄熟材使用量とエアコン能力の関係性 を示した。石津らは、コンクリートブロックと熱容量の大きい フエオライトを用いた実験を行い、熱容量による温度変動の違いを 示した。顕熱システムを利用する際に重要な点は、顕熱蓄熱材の 蓄熱量である。藤田らは、蓄熱量や放熱量の大きさによる温度維持 の向上を明らかにした。しかし顕熱蓄熱材の蓄熱量は比較的小さ く、多くの熱量を蓄える場合は質量や体積を大きくしなければなら ず、システムの設置スペースやコストに限界が生じてしまう。%The number of house with thick insulation and air tightness is increasing in cold climate region to decrease heating energy and to save daily life cost. Decreasing fresh air load is important to save heating energy in such houses. The purpose of this study is to develop pre-heating system by using solar air heat collector with thermal storage system. First, we examined the performance of the solar air heat collector and thermal storage system. Second, we made the numerical model. Third, we analyzed the possibility and the application of the system by using the numerical model.