1成分形ポリウレタン系シーリング材の硬化過程における引張特性

摘要

シーリング材は建物の防水性や気密性の確保のため，外壁や窓枠等の目地部分に充塡される材料であり，ペースト状の不定形シーリング材や、成形された定形シーリング材などがある。さらに，不定形シーリング材には，大きく1成分形シーリング材と2成分形シーリング材とがある。まず，2成分形シーリング材では，主剤と硬化剤からなり，現場で両材料を混合し使用する。そのため，現場での混合時間が必要となり，また混合比のミスや，混合不足がシーリング材の硬化不良の原因となる。一方，1成分形シーリング材は，湿気硬化形とも言われ，大気中の水蒸気と材料が反応することで硬化する材料である。工場で製造されたシーリング材は密閉された容器に詰められた状態で保管され，現場で封を切るだけでそのまま施工でき，混合ミスの問題解決と工期短縮に有効である。しかし，1成分形は，大気と触れる施工した材料表面より徐々に硬化が進行するため，最終的に全体が硬化するまでの時間は材種にもよるが，2成分形と比べると長時間を要する。そのため，シーリング材を施工後まだ未硬化の状態で，被着体部の材料が日射などの影響を受け熱膨張や収縮をした場合，養生途中にあるシーリング材に引張力や圧縮力が生じることになる。このような外力が硬化過程で作用した場合，硬化後のシーリング材の断面形状を歪め，力学的性質の低下の原因となることが指摘されている。