模擬剥離試験体を用いたタィル剥離診断装置の有効性の検証

摘要

本報では，既報2)で考案したタイル剥離診断装置を用いて，タイル種類，張付け材，剥離深さ，剥離面積を変化させた12種類の模擬剥離試験体の全面を測定し，剥離判定パラメータである相対振幅評価値R_(AF)がをマイクごとに算出した。R_(AF)の算出結果をもとに，剥離診断装置および剥離判定パラメータの有効性について考察した結果，以下の結論を得た。1.打撃点の中から，剥離深さが異なる試験体（X0,X10,X20,X30)において，健全範囲（a),剥離範囲中央（b),剥離範囲境界近傍(c)の3つの特徴点を抽出し，これらの特徴点においてマイクごとにR_(AF)のを計測した結果，剥離範囲中央では4つのマイクのR_(AF)とも健全範囲のR_(AF)と比較して十分大きく，かつ4つのマイクのR_(AF)の値はほぼ等しいこと，剥離範囲境界近傍では剥離範囲内部側に位置するマイクで検出されるR_(AF)が他のマイクよりも大きい値で検出されることにより剥離判定に有利であること，および，健全範囲を打撃した場合には仮にマイクが剥離範囲に入っていたとしても，いずれのマイク位置のR_(AF)とも小さいことを確認した。