潜熱蓄熱材を含む壁体の蓄熱量の簡易的な予測法に関する検討

摘要

潜熱蓄熱材（Phase-ChangeMaterials,以下「PCM」）は，相変化温度付近で大きな潜熱容量を有するため，熱容量の小さい木造住宅等へ適切に導入することにより，室温の安定効果が期待される。室温の安定性には，壁体を含む室全体の蓄熱特性が影響する。相変化が生じない一般建材から成る壁体の蓄熱特性は，既往研究で議論されている。ISO13786~(1))では，壁体両側が正弦波形で温度変動する場合の蓄熱量を，壁体の層構成の各層の厚，熱伝導率，比熱，温度変動の周期等より算出する方法が示されている。西澤らの研究~(2)3))では，正弦波の温度変動時の熱流応答をもとに，隣接空間の温度差係数の影響を含めて，壁体や住戸単位の有効熱容量を算出する方法が提案されている。これらの蓄熱量や有効熱容量は，算出用プログラムがあれば，瞬時に解が得られる程度の計算量で求まる。