更新用プレキャストPC床版技術指針について: 劣化が進行した鋼橋RC床版のPC床版への更新

摘要

国内の橋梁は，高度経済成長期から急速に整備されており，経年化による劣化が顕在化している。とくに鋼鈑桁橋や鋼箱桁橋の床版として採用されている鉄筋コンクリート床版は，交通量や荷重の増大による疲労，飛来塩分や凍結防止剤の散布による塩害およびアルカリシリカ反応などにより劣化が進行している。高速道路会社においては，これらに対処するため，橋梁の大規模更新や大規模修繕が事業化されており，劣化が進行した鋼橋の鉄筋コンクリート床版は，耐久性の高いプレストレストコンクリート床版に取替えることが決定された。プレストレストコンクリート工学会としては，プレストレストコンクリート技術の確固とした貢献ができるよう供用中の路線の床版取替え工事を対象としたプレキャストプレストレストコンクリート床版技術の合理的な適用方法を検討することが必要であると考えられるため，「更新用プレキャストPC床版技術検討委員会」を組織し，2015年3月に第1回の委員会を開催して，2016年3月までの1年間で「更新用プレキャストPC床版技術指針」の策定を行った。本文は，この指針の概要について述べるものである。