新名神高速道路安威川橋: 長支間波形鋼板ウェブ箱桁橋の設計•施工と振動実験

摘要

新名神高速道路安威川橋は，茨木千提寺IC〜高槻JCT •IC間に位置し，一級河川安威川，府道茨木亀岡線を跨ぐ箇所に建 設された波形鋼板ウェブ箱析橋である。構造形式は，上り線がPRC 8径間連続ラーメン混合桁橋（波形鋼板+ PRC箱桁)，下 り線がPRC 5径間連続ラー メン波形鋼板ウェブ箱桁橋である。上り線で179 m，下り線で170 mの最大支間長を有しており， これに伴い最大桁高は11.5mとなる。本橋は桁橋形式の波形鋼板ウェブ橋として支間長•桁高共に世界最大規模である。こ れまでの実績を超えるため，設計•施工を行うにあたっては，いくつかの懸念事項があげられた。設計においては，通常の桁 高を想定した波形鋼板ウェブ橋に関する過去のさまざまな実験により確認された既往の設計手法が，桁高の高い本橋において も適用可能かという懸念があった。設計における懸念事項の検証として行った，非線形有限変形FEM解析や縮小モデルでの せん断耐カ実験について報告を行うとともに，施工においては，ブロック長を6.4mとした急速施工法と施工上の工夫に関し て報告する。桁高が高い波形鋼板ウェブ橋はせん断変形が大きく，振動特性への影響が懸念された。本稿では，橋体完成後に検証のため に行った振動実験についても報告する。