理研BNL研究センターとRHICにおけるスピン物理研究 理研BNL研究センター/理研仁科センター延與放射線研究室

摘要

PHENIX実験の陽子スピンの研究では、π~0の2重ヘリシティ非対称度A_(LL)を低x領域で測定し、グルーオンスピンが陽子スピンに有限の寄与する、と示唆する結果がPRDに掲載された。過去の比較的高いx領域(価クォークが支配的領域)での測定では、反応へのグルーオンの寄与自体小さく、なかなか観測される微小な非対称度に誤差が追いつかず確証が得られなかった。しかし測定範囲をグルーオンの存在確率の高い低x領域へ拡張することで、初めてグルーオンスピンの尻尾を捉えることができた。これは陽子のスピン構造研究にとって重要なマイルストーンであり、この結果は理研よりプレスリリースされた。この研究ではInseok Yoon氏(理研、ソウル国立大学)が中心的役割を果たし、博士号を取得した。