超光速は実現可能か

摘要

光は，真空中では1秒間におよそ30万キロメートルもの距離を進みます。この速さ(光速c,秒速約30万キロメートル)は，自然界の最高速度だといわれています。この世界のどこをさがしても，光より速く移動できるものは存在しないというわけです。このことは，1905年に物理学者アルバート•アインシュタインの「特殊相対性理論」によって示されました。はたして，ほんとうに光より速く進むことはできないのでしょうか？光は猛烈な速さで進みますが，広大な宇宙では光の速さをもってしても移動にはそれなりの時間がかかります。たとえば，太陽の光は地球に届くまでに8分以上もかかります。人類が超光速ロケットを開発して，はるか彼方の星に一瞬で到着するようなことは不可能なのでしょうか？また，超光速での通信が実現したら，「過去への通信」が可能になるといわれています。昨日の自分にこれからおきる出来事を伝えることができるというわけです。光速を超えると，なぜそんなことが可能になるのでしょうか？今月号のNewton Specialでは，自然界の最高速度といわれる光速cを超える可能性について，徹底検証していきます。