木造建築のつくり方•工法の現況

摘要

今，非住宅の木造建築が注目されている.2010年10月に「公共建築物木材利用促進法」が施行され，国は，「3階建て以下程度の比較的小規模な公共建築物は，原則的にすべて木造とする」という方針を定めた. さて，比較的大型の木造建築が注目されたのは，今回が初めてではない.昭和60(1985)年代にも，そうした時期があった.戦前から戦中にかけてち「新興木構造」と呼ばれる大型木造の隆盛期があったのだが，今回は戦後で言えば2回目である.1回目は「大スパン木造」がテーマだったと言ってよかろう.そして今回のキーワードは，「多層木造」と「木の材質を活かした多様な架構」である.まず「多層木造」から見ていぐ中層の木造事務所建築を建てる構法として，最も期待が大きいのが，壁の少ない木質ラーメン構造である.